【医業経営ニュース】Vol.79「10月以降の医療DX推進体制整備加算・医療情報取得加算の変更点 」
2024年度の診療報酬改定で新設された「医療DX推進体制整備加算」及び「医療情報取得加算」について、2024年10月1日より基準や点数が変更となります。本号では、両加算の変更点について解説します。
■医療DX推進体制整備加算の変更点
2024年9月までは8点の加算でしたが、10月からは下表の通りマイナ保険証利用率(5%・10%・15%)に応じ3区分に分けられることとなりました。
なお、このマイナ保険証利用率は、2025年1月より基準が引き上げられ、2025年4月以降についても基準の見直しがなされる予定です。
区分 | 点数 | マイナ保険証利用率 | |||
2024年10月~ | 2025年1月~ | 2025年4月~ | |||
~2024年9月 | 医療DX推進体制整備加算 | 8点 | ─ | ─ | ─ |
2024年10月~ | 医療DX推進体制整備加算1 | 11点 | 15% | 30% | 附帯意見を踏まえ、本年末に検討・設置予定 |
医療DX推進体制整備加算2 | 10点 | 10% | 20% | ||
医療DX推進体制整備加算3 | 8点 | 5% | 10% |
■マイナ保険証利用率について
マイナ保険証利用率は「レセプト件数ベース利用率」と「オンライン資格確認ベース利用率」の2種類があります。原則はレセプト件数ベース利用率を使用しますが、2024年10月から2025年1月については、オンライン資格確認ベース利用率を使用することも可能です。
マイナ保険証利用率は、レセプト件数ベース利用率では算定月の3月前の利用率、オンライン資格閣員ベース利用率では算定月の2月前の数値を用います。
ただし、下表のとおり判定月(★)の前月・前々月の値を代用することも可能であり、これらの値の内最高値を加算1から3の区分判定に用いることができます。
2024年 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 |
レセプト件数ベース | 代用可能 | 代用可能 | ★ | 算定月 | ||
オンライン資格確認件数ベース※ | 代用可能 | 代用可能 | ★ | 算定月 |
※2024年10月~2025年1月
■追加された施設基準
加算1、2については、2024年10月からマイナ保険証利用率に加え、新たに下記の施設基準が追加となります。
(11) マイナポータルの医療情報等に基づき、患者からの健康管理に係る相談に応じる体制を有していること。 |
すでに医療DX推進体制整備加算を届け出ている医療機関については、利用率及び相談体制の施設基準は満たしていればよく、再届出は不要です。
また、すでに届け出ていても、マイナ保険証利用率が基準に満たなくなった場合には、医療DX推進体制整備加算は算定できない取扱となります。
■届出添付書類の記載方法
2024年10月からのマイナ保険証利用率の設定、施設基準の追加により、医療DX推進体制整備加算の届出様式(様式1の6)が下記のように変更となります。
これから医療DX推進体制整備加算の届出を検討されている医療機関様はご参照ください。
[記載上の注意】 1 「5」については、届出時点で電子処方箋を未箱入の場合に記載すること。 2 「6」については、令和7年10月1日以降に届出を行う場台に記載すること。 3 「7」及び「8 」については、令和6年10月1日以降に届出を行う場合に記載すること。 4 「4」については、令和7年3月31日までの問に限り、「6」については、令和7年9月30日までの間に限り、 「10」については、令和7年5月31日までの間に限り、それぞれの基準を満たしているものとみなす。 5 「10」については、自ら管理するホームページ等を有しない場合については、この限りではないこと。 |
※上表 出典:厚生労働省資料『医療DX推進体制整備加算・医療情報取得加算の見直しについて』
■医療情報取得加算 点数変更(2024年12月~)
2024年12月2日より現行の健康保険証の発行が終了し、マイナ保険証利用を基本とする仕組みに移行します。これに伴い、医療情報取得加算の点数が下表の通り変更となります。
医療情報取得加算 | 点数 (~11月) |
点数 (12月~) |
主な算定要件 | |
初診時 (月1回) |
医療情報取得加算1 | 3点 | 医療情報 取得加算 1点 |
十分な情報を取得した上で初診を行った場合 |
医療情報取得加算2 | 1点 | 電子資格確認により当該患者に係る診療情報を取得等した場合又は他の保険医療機関から当該患者に係る診療情報の提供を受けた場合 | ||
再診時 (3月に1回) |
医療情報取得加算3 | 2点 | 医療情報 取得加算 1点 |
十分な情報を取得した上で再診を行った場合 |
医療情報取得加算4 | 1点 | 電子資格確認により当該患者に係る診療情報を取得等した場合又は他の保険医療機関から当該患者に係る診療情報の提供を受けた場合 |
12月からは施設基準を満たしていれば、初診時、再診時ともにマイナ保険証の利用有無関係なく1点となります。
厚生労働省は、マイナ保険証の利用促進策として、医療機関・薬局へ2024年5月から2024年8月の4か月間のいずれかの月のマイナ保険証の利用人数の増加量に応じて、一時金の支給を行うとしています。
一時金の支給に関する詳細については、厚生労働省パンフレットにてご確認ください。