【医業経営ニュース】Vol.115「診療改定レポート10ー一般病棟用 重症度、医療・看護必要度についてー」
11月26日に開催された中医協総会において、入院について(その7)が示されました。
本号では、「一般病棟用 重症度、医療・看護必要度について」新たに議論された部分について整理します。
- 見直し案に沿ったシミュレーションの実施
2026年診療報酬改定に向けた議論の中で、一般病棟用の「重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)において 内科症例が評価上不利になりやすい構造が改めて課題として示されています。この評価の見直し案として「A・C項目への内科的処置の追加」と「救急搬送受入件数等に応じた加算」の導入が示され、これらの見直し案に沿ったシミュレーションが実施されました。

出典…2025年11月26日中医協総-2

出典…2025年11月26日中医協総-2
- シミュレーション結果
A・C項目への内科的処置の追加と救急搬送受入件数等に応じた加算の導入により、救急搬送受け入れが多く、かつ、手術なし症例が中心となる病棟で看護必要度が大きく上昇する結果となりました。救急搬送をしっかり受け入れていれば、手術症例が少ない病棟でも全体平均との差がほぼなくなっており、課題となっている内科系病棟への対応が期待できる結果となっております。

出典…2025年11月26日中医協総-2

出典…2025年11月26日中医協総-2

出典…2025年11月26日中医協総-2
- 見直し案の効果と今後の検討結果
看護必要度における「内科症例が不利」という課題に対し、A・C項目の内科的処置の追加と救急搬送受入件数等に応じた加算という2つのアプローチは、シミュレーション上では一定の改善効果を示しています。特に救急搬送を多く受け入れ、手術なし症例が多い急性期病棟では、看護必要度が大幅に上昇する結果となりました。
ただし、このような評価方法の見直しは病院経営に大きな影響を及ぼすため、慎重な制度設計が必要です。最終的な制度化に向けてはさらなる議論がなされる見込みですが、仮にこの方向性で進んだ場合、内科系病棟における看護必要度は救急受入の影響が大きくなると考えられます。改定の影響を把握するため、現在の自院の救急受入件数を踏まえて、看護必要度がどの程度になるかを試算しておくことをおすすめします。
