【医業経営ニュース】Vol.117「診療報酬改定レポート12ー物価対応についてー」
1月9日に開催された中医協総会において、物価対応について(その1)が示されました。
本号では、新たに議論された内容について整理します。
- 物価・賃金高騰への恒常的対応の考え方
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- 物価・賃金の継続的な上昇を踏まえ、公定価格である診療報酬による恒常的な対応が必要とされ、診療報酬改定率は全体でプラス3.09%(2年度平均)と示されました。
- 物価高騰への対応については、将来の物価動向を踏まえ、2段階で実施する方針が示されています。
- このうち、2026年度以降の物価上昇への本格対応分としてプラス0.62%が確保され、診療報酬に特別な評価項目を設定することで対応するとされています。
- あわせて、2024年度改定以降の経営環境悪化への緊急対応としてプラス0.44%の財源が確保され、病院にはプラス0.40%が配分されるとされています。


出典…2026年1月9日中医協総-1
- 病院・有床診療所における入院、病院の外来での物価対応について
【入院での物価対応(病院・有床診療所)】
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- 入院分野における物価上昇への対応については、将来的な物価動向を見極めながら段階的に対応する必要があるとの考え方が示されています。
- このため、入院基本料や特定入院料等の既存の入院料を一律に引き上げるのではなく、入院料の算定時に併せて算定できる「物価上昇に関する評価項目」を新たに設けることが検討されています。
- 一方、2024年度診療報酬改定以降の物価・賃金上昇により生じた経営環境悪化への緊急対応分については、2026年度診療報酬改定において入院料等の引き上げとして反映する方針とされています。
- なお、入院分野における物価上昇対応の評価水準については、病院全体の改定率(入院・外来を含む)から、外来診療における物価上昇対応分を差し引いた範囲で調整される見込みとされています。

出典…2026年1月9日中医協総-1
【外来での物価対応(病院)】
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- 初・再診料(訪問診療料や、初・再診料の評価を包括する地域包括診療料等を含む)とは別に、初・再診時等に算定できる「物価上昇に関する新たな評価項目」を設けることが検討されています。この点については、病院と医科・歯科診療所で共通の枠組みが想定されています。
- 一方で、病院外来は診療所外来と比べて人件費や材料費などのコスト構造が異なることから、診療所と同一の評価方法では、病院外来における実際の物価上昇分を十分にカバーできない可能性が指摘されています。
- そこで、初・再診時の評価による対応だけでは不足する病院外来分の物価上昇については、入院分野の評価において補正する仕組みを組み合わせて対応する考え方が示されています。
- 具体的には、まず診療所のコスト構造を基に算定した初・再診時の物価上昇対応評価を病院外来にも適用した上で、病院外来において生じる対応不足分については、入院時の評価に上乗せすることで調整するという二段構えの対応が想定されています。

出典…2026年1月9日中医協総-1
- 2025年度補正予算を踏まえた入院料への配分
- 2024年度診療報酬改定以降の経営環境悪化への対応については、2025年度補正予算による支援効果を減じない(維持する)との大臣折衝での考え方を踏まえ、診療報酬改定においても整合的な対応を行うことが検討されています。
- 回復期、精神、慢性期については、入院1日当たりの定額配分とする方式が想定されています。
- 急性期については、補正予算の財源を一体的に扱った上で、特定機能病院、急性期病院、その他急性期の3類型に区分して配分し、さらに入院料ごとの物件費等の水準を踏まえた1人1日当たりの入院料上乗せ額を算出する仕組みが検討されています。
- こうした配分設計にあたっては、2019年の消費税補填時の考え方も参考とし、医療機関間で過不足が生じにくいよう、医療機能や入院料構成、物件費率等を踏まえた精緻な配分を行う方針が示されています。

- まとめ
今回示された物価対応の考え方では、2年度にわたる段階的対応と特別な評価項目の設定により、病院機能ごとの違いを踏まえた配分が想定されています。物価高騰への対応については、医療機関間の不均衡を抑える観点が盛り込まれています。
ただし、今回の物価対応は、恒常的に収益を押し上げる仕組みではなく、あくまで2年度にわたって段階的に講じられる対応にとどまります。そのため、今回の対応のみで、今後の物価上昇まで継続的に吸収できるものではない点には注意が必要です。
今後は、自院の病床機能や入院料構成、物件費の実態を踏まえ、診療報酬で補填される範囲と、経営改善によって対応すべき領域を切り分け、病院全体の収支構造を見直していくことが重要になると考えられます。
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