【医業経営ニュース】Vol.104「2026年度診療報酬改定 検討状況レポート1ー包括的な機能を担う入院医療についてー」
6月13日に「令和7年度第3回入院・外来医療等の調査・評価分科会」において、2024年度診療報酬改定にて新設された『地域包括医療病棟』の調査結果等を基に、包括的な機能を担う入院医療について議論されました。
- 地域包括医療病棟について
『地域包括医療病棟』は、軽症~中等度の高齢者救急患者の増加、急性期治療後のADL低下や低栄養・誤嚥性肺炎のリスクを防ぎつつ、リハビリ・栄養・退院支援・意思決定支援を多職種連携で包括的に提供し、急性期から在宅へ円滑な移行を目的として新設されました。
出典:令和7年6月13日 中医協 (令和7年度第3回)入院・外来医療等の調査・評価分科会
「地域包括医療病棟」は、急性期一般入院料1からの移行、急性期一般入院料2~6(地域包括医療病棟同様10対1の看護配置の入院料)からの移行や地域包括ケア病棟からの移行が想定されました。
出典:令和6年3月5日 厚生局 令和6年度診療報酬改定の概要【入院Ⅰ(地域包括医療病棟)】
出典:令和7年6月13日 中医協 (令和7年度第3回)入院・外来医療等の調査・評価分科会
出典:令和7年6月13日 中医協 (令和7年度第3回)入院・外来医療等の調査・評価分科会
出典:令和7年6月13日 中医協 (令和7年度第3回)入院・外来医療等の調査・評価分科会
出典:令和7年6月13日 中医協 (令和7年度第3回)入院・外来医療等の調査・評価分科会
6月13日の入院・外来医療等評価分科会において上記の想定と合致したことが示されました。
また、急性期一般入院料1など移行前の入院料を併せて届け出ていること、3分の2の病院がDPC対象病床を有していることが示されました。
このような調査結果から、「地域包括医療病棟」は前述でもあるように、「高齢者の救急患者を受け入れる」ことを目的に創設された病棟であり、他の急性期病棟とのケアミクスでは、機能が重複してしまうことが懸念されています。また、地域ごとに偏りが見られます。大都市型の二次医療圏では急性期機能を有する病院が多く、過疎地域になるにつれ、回復期~慢性期病棟のみを有する病院の割合が多いことがわかりました。
さらに今後の届出意向を持つ医療機関は5%前後と少なく、休日のリハビリテーションの提供や、重症度、医療・看護必要度の基準、ADLに関するアウトカム評価等について、多くの医療機関が課題として挙げています。
これらの調査内容やデータを考慮して、評価の見直し等の検討が求められています。制度の円滑な定着に向け、今後の議論に注目が必要です。