【医業経営ニュース】Vol.107「医療DX推進体制整備加算の見直しについて」
医療DX推進体制整備加算のマイナ保険証利用率の実績要件の適応時期が2025年9月末までとなっていることに伴い、2025年7月23日開催の第613回中医協総会において、要件の見直し案が提示されましたので、解説します。
■ マイナ保険証利用率の実績要件
2025年10月1日からのマイナ保険証利用率について、中医協案では2025年7月以降の以下の通り実績要件が引き上げられます。
従来は、半年に1度実績要件の見直し及び引上げがなされていましたが、今回は2025年12月1日をもって、発行済みの健康保険証の経過措置が終了となることから、更なる医療DX推進体制整備のため、利用率実績の引上げのタイミングが変更となっています。
なお、小児科特例については、実績要件は上がるものの対応は継続されます。
利用率実績 | 2025年1月~ | 2025年7月~ | 2025年12月~ |
適用時期 | ~2025年9月30日 | 2025年10月1日~2026年2月28日 | 2026年3月1日~2026年5月31日 |
加算1・4 | 45% | 60% | 70% |
加算2・5 | 30% | 40% | 50% |
加算3・6 | 15% (小児科特例※1:12%) |
25% (小児科特例※2:22%) |
30% (小児科特例※3:27%) |
【小児科特例について】
※1:小児科外来診療料を算定している医療機関であって、かつ前年(2024年1月1日から同年12月31日まで)の延べ外来患者数のうち6歳未満の患者の割合が3割以上の医療機関においては、2025年4月1日から9月30日までの間に限定して特例割合を適用する。
※2:※1の条件を満たす医療機関において、2025年10月1日から2026年2月28日までの間に限り、特例割合を適用する。
※3:※1の条件を満たす医療機関において、2026年3月1日から2026年5月31日までの間に限り、特例割合を適用する。
出典:中医協総会(第613回)総-2-1 医療DX推進体制整備加算等の要件の見直しについてP.25
■ マイナ保険証利用率の推移
施設類型別のマイナ保険証利用率は医科診療所、病院いずれも上昇を続けていますが、35%程度にとどまっています。
利用割合=マイナ保険証利用人数/レセプト件数
出典:中医協総会(第613回)総-2-1 医療DX推進体制整備加算等の要件の見直しについてP.29
マイナ保険証利用率実績要件は、段階的に引き上げられているため、算定区分を維持するためには利用率実績を上げていく必要があります。2025年12月1日の発行済み保険証の経過措置終了に伴い、マイナ保険証利用への切り替えが促進され、利用率は増加傾向となることが予想されますが、自院でのマイナ保険証利用率増加に向けて、受付時等に積極的な声掛けの実施や、ポスター掲示等の取り組みが必要となります。
ポスターなどの各種周知素材については、厚生労働省から発出されていますので、以下リンクより確認の上、ご活用ください。
■電子カルテ情報共有サービスについて
医療DX推進体制整備加算及び在宅医療DX情報活用加算の施設基準の一つに“電子カルテ情報共有サービスが活用できる体制を有していること”があります。当該基準は2025年9月30日までの経過措置となっていますが、「医療法等の一部を改正する法律案」が未成立であること及び電子カルテ情報共有サービスに関する対応を踏まえ、2026年5月31日まで延長となります。