【医業経営ニュース】 Vol.46「オンライン資格確認・医薬品安定供給に関する経過・特例措置」
オンライン資格確認の導入・普及の徹底や、医薬品の安定供給問題を踏まえての各種加算について、経過措置や特例措置が講じられることが公表されました。
■ オンライン資格確認導入の経過措置
2023(R05)年4月より、保険医療機関及び保険薬局にオンライン資格確認(マイナンバーカードの保険証利用)の導入が原則として義務付けられますが、2022(R04)年12月の時点で、準備完了施設数は49.9%、運用開始施設数は42.1%(いずれも義務化対象施設に対する割合)という状況です。
このような状況を踏まえ、2022(R04)年度末の時点で下記の“やむを得ない事情”に該当する場合の、期限付きの経過措置が設けられました。
これらに該当する保険医療機関は、システム整備が完了する見込み(予定月)を届け出る必要があります。
保険医療機関・薬局における “やむを得ない事情” | 左記の各事情の期限※ | |
1 | 2023(R05)年2月末までにベンダーと契約締結したが、導入に必要なシステム整備が未完了の場合 | システム整備が完了する日まで(遅くとも2023(R05)年9月末まで) |
2 | オン資に接続可能な光回線のネットワーク環境が整備されていない(ネットワーク環境事情)の場合 | オン資に接続可能な光回線ネットワークの整備から6ヶ月後まで |
3 | 保険医療機関であり、訪問診療のみを提供する場合 | 訪問診療のオン資(居宅同意取得型)の運用開始(2024(R06)年4月)まで |
4 | 改築工事中、臨時施設の場合 | 改築工事完了/臨時施設終了まで |
5 | 廃止・休止に関する計画を定めている場合 | 遅くとも2024(R06)年秋まで |
6 | その他特に困難な事情がある場合 | 特に困難な事情が解消されるまで |
※各事情に関連する、医療情報化支援基金による補助の拡充措置や、オン資の導入に係る財政支援の実施の期間との兼ね合いを留意する必要あり
■ オンライン資格確認の導入・普及に関する加算の特例措置
オンライン資格確認の導入・普及の観点から、「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」について、①初診時の評価の見直し ②再診時の評価の新設 ③算定要件の見直しが講じられました。これにより、再診時にマイナ保険証を利用しない患者に対し、2点が加算可能となります。
区分 | 現行 | 特例措置 | ③左記特例の算定要件 | ||
① 初診時 |
マイナ 保険証を |
利用しない | 4点 | 6点 | オンライン請求を2023(R05)年12月末までに開始する届出を行っている場合、2023(R05)年4月から12月まで時限適用 |
利用する | 2点 | 2点 | |||
② 再診時 |
マイナ 保険証を |
利用しない | ─ | 2点※ | |
利用する | ─ | ─ |
※1月に1回
■ 医薬品の安定供給問題を踏まえた診療報酬上の特例措置
2021年以降、医療用医薬品の供給は、出荷の調整・停止や販売中止が相次いだことから、出荷調整等の影響のために代替となる医薬品の確保等の業務が増大しており、医療機関にとって大きな負担となっています。
このような医薬品の供給が不安定な状況を踏まえ、患者への適切な薬剤の処方等の観点から、以下の加算について、特例措置が講じられました。当該特例措置は、2023年4月から12月までの9か月間の時限的に適用されます。
これらの特例措置は、医薬品の供給が不安定な状況を踏まえ、適切な提供に資する取組を実施した場合が対象となるため、以下の施設基準が追加されます。
区分 | 現行 | 特例措置 | 追加の施設基準 | |
一般名 処方加算 |
1 | 7点 | +2点 | 医薬品の供給状況等を踏まえつつ、一般名処方の趣旨を患者に十分に説明することについて見やすい場所に掲示 |
2 | 5点 | |||
後発医薬品 使用体制加算 |
1 (90%以上) |
47点 | +20点 | ・当該加算の届出
・医薬品の供給が不足等した場合、治療計画等の見直しや医薬品の処方等の変更等に適切に対応する体制 ・上記に関する事項及び医薬品の供給状況によって投与する薬剤を変更する可能性があること及び変更する場合には患者に十分に説明することについて見やすい場所に掲示 |
2 (85%以上) |
42点 | |||
3 (75%以上) |
37点 | |||
外来後発 医薬品 使用体制加算 |
1 (90%以上) |
5点 | +2点 | |
2 (85%以上) |
4点 | |||
3 (75%以上) |
2点 |