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【医業経営ニュース】Vol.74「2024年度診療報酬改定 検討状況レポート16 ‐長期収載品の処方等又は調剤について 選定療養の導入‐」

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2024年度診療報酬改定により、2024年10月より長期収載品の処方等又は調剤について選定療養の仕組みが導入され、これにより処方箋様式の改正が行われます。
改正箇所は下図の赤枠・青枠部分となります。銘柄名処方された長期収載品について医療上必要な場合の変更が不可となり、患者希望を明確化する必要があります。

■処方箋様式の変更点

(上図出典:2024年3月4日 厚生労働省 保険医療機関及び保険医療養担当規則等の一部を改正する省令)

銘柄名処方された長期収載品であって、「変更不可(医療上必要)」欄及び「患者希望」欄のいずれにも「✓」又は「×」が記載されない場合には、保険薬局における調剤の段階で後発医薬品を調剤することができる一方で、患者が長期収載品を希望すれば選定療養の対象となります。
また、一般名処方の場合には、「変更不可(医療上必要)」欄及び「患者希望」欄のいずれにも、「✓」又は「×」を記載しないこととされ、 一般名処方の処方箋を保険薬局に持参した患者が長期収載品を希望した場合には、選定療養の対象となるため、患者への説明と同意を得ることが重要となります。

■選定療養の対象医薬品の考え方と対象医薬品リスト

令和6年4月19日付の厚生労働省保険局医療課からの事務連絡において、2024年10月より導入される長期収載品の処方等又は調剤に係る選定療養の対象医薬品について、その考え方と対象医薬品リストが示されました。

 

対象医薬品の考え方 対象医薬品リスト
(1) 後発医薬品のある先発医薬品(準先発品を含む)であること(バイオ医薬品を除く)
(2) 後発医薬品が収載された年数及び後発品置換え率の観点から、組成及び剤形区分が同一であって、次のいずれかに該当する品目であること
① 後発医薬品が初めて薬価基準に収載されてから5年を経過した品目(後発品置え率が1%未満のものは除く)
② 後発医薬品が初めて薬価基準に収載されてから5年を経過しない品目のうち、後発品置換え率が50%以上のもの
(3) 長期収載品の薬価が、後発医薬品のうち最も薬価が高いものの薬価を超えていること・この薬価の比較にあたっては、組成、規格及び剤形ごとに判断するものであること

 

■患者が長期収載品を希望した場合の一部負担金の計算方法

患者が「対象医薬品リスト」にある長期収載品を希望する場合、選定療養の対象となります。この場合の保険給付は、長期収載品の薬価と後発医薬品の最高価格帯の価格差の4分の3まで となります。

例)長期収載品Aを患者希望により先発品で処方した場合 … 10月以降は32円の負担増

長期収載品A 後発医薬品の最高価格
薬価 270円(a) 110円(b)
3割負担の場合 2024年9月まで 81円 33円
2024年10月から 113円(e) 33円

〖上記計算方法〗
選定療養部分 … (270円(a) – 110円(b))× 1/4 = 40円(c)
3割負担部分 … 270円(a) – 40円(c) × 0.3 = 69円(d)
患者負担総額 … 69円(d) + (40円(c) × 1.1(※)) = 113円(e)
※選定療養部分は消費税10%

このように、現在患者希望によりリストにある長期収載品を処方している場合、今後負担金額が増加する場合があることを説明する必要があります。
まずは自院で処方している医薬品のうち、選定療養の対象となる長期収載品に該当するのがどれか確認することが必要です。加えて、本制度の趣旨や患者負担に関して、院内の見えやすいところへの掲示やウェブサイトへの掲載等が必要となります。

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