医業経営ニュース】Vol.84「電子処方箋システムの導入・運用の推進に向けた各種支援政策」
2023年1月に開始された電子処方箋サービスに関し、厚生労働省は全国的なシステムの整備支援を行い、患者や医療従事者が利用しやすい環境づくりを進めています。本号では、電子処方箋の導入に向けた支援政策について解説します。
■国による支援:医療情報化支援基金
医療分野におけるICT化を支援することを目的とした[医療情報化支援基金]では、電子処方箋管理サービスの導入に向けたシステム整備に対する支援として以下の補助が行われています。
区分 | 補助の対象 | |
① | 医療情報化支援基金(電子処方箋) | ア.基本パッケージ改修費用:電子カルテシステム、レセプト電算化システム等の既存システム改修にかかる費用 イ.接続・周辺機器費用:オンライン資格確認端末の設定作業、医師・薬剤師の資格確認のためのカードリーダー導入費用(カード取得費用は除く) ウ.システム適用作業費用:現地システム環境適用のための運用調査・設計、システムセットアップ、医師、運用テスト、運用立会い等 |
② | 電子処方箋の機能拡充の促進事業 | |
〖補助の内容〗 出典:厚生労働省HP 電子処方箋 5.1 医療情報化支援基金等による補助金について |
■都道府県によるシステム導入費用の助成事業
上記の国の予算による施策以外に、一部の都道府県では国庫補助金の交付による導入費用の助成が行われています。
【施策のスキーム、実施要件(対象、補助率等)】 ・実施主体:都道府県、補助率:国2/3、都道府県1/3 ・都道府県は活用・普及の促進施策の実施に向けて、電子処方箋の運用開始施設を一定数確保することにより、運用実績から得られる課題やデータ等に関するリソースを確保 ・運用開始施設を確実に確保するため、都道府県は導入費用に関する助成金※を支給し、給付を受けた施設は一定期間都道府県の取り組みへ協力(モニター、アンケート、セミナー、広報資材作成、データ提供等) ※助成金と他の補助金を併せて受給することが可能(導入費用に対する財政支援全体の割合:病院1/2、診療所・薬局(大手除く)3/4、大手チェーン薬局1/2) |
交付状況 | 都道府県名 |
国庫補助金の 交付が決定 |
青森県、秋田県、山形県、福島県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、富山県、長野県、愛知県、三重県、大阪府、和歌山県、広島県、山口県、福岡県、熊本県 |
国庫補助基準を 通知(内示) |
北海道、宮城県、栃木県、石川県、静岡県、滋賀県、奈良県、岡山県 |
出典:厚生労働省HP 電子処方箋 5.2 都道府県による導入費用の助成事業について
■広島県の場合
広島県では電子処方箋導入費用の助成として「広島県電子処方箋の活用・普及促進に係る補助金」(下表参照)があり、補助を受けるためには以下の2つの条件を満たす必要があります。
〖条件1〗電子処方箋が導入完了し社会保険診療報酬支払基金からの補助金の交付決定を受けていること
〖条件2〗県が別に指定する電子処方箋に関する取組に協力すること
上表出典:広島県HP 広島県電子処方箋の活用・普及促進に係る補助金
システムベンダーへの電子処方箋の導入問い合わせは増加しており、導入までに時間を要する状況です。上記補助金には申請期限があるため、導入は早期に着手することを推奨します。