【医業経営ニュース】vol.39 「外来機能報告制度の開始に向けて」
令和3年5月に、「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律」(令和3年法律第49号)が成立・公布されました。
この法律において、外来機能報告制度が創設され、地域の医療機関の外来機能の明確化・連携に向けて、地域においてデータに基づく議論が進められます。
外来機能報告制度は、一般病床や療養病床をもつ病院や診療所が対象となりますが、ベッドを保有していない診療所においても任意で参加が可能となっています。対象医療機関においては、どういった外来医療を提供しているのかを毎年都道府県に報告することが義務となります。
出典:厚生労働省 資料「外来機能報告等について(P2)」より
■紹介受診重点医療機関について
外来機能報告制度が創設されることにより、新たに「医療資源を重点的に活用する外来」である『紹介受診重点医療機関』が明確化されることとなりました。
紹介受診重点医療機関の選定は、外来の実施状況として「医療資源を重点的に活用する入院前後の外来」、「高額等の医療機器・設備を必要とする外来」、「特定の領域に特化した機能を有する外来」のいずれかに該当する外来を提供している医療機関や、紹介・逆紹介の状況、紹介受診重点医療機関となる意向のある医療機関が対象となり、地域の協議の場において選定されます。
出典:厚生労働省 資料「外来機能報告等について(P5)」より
■医療資源を重点的に活用する外来
紹介重点医療機関の選定に係る[医療資源を重点定期に活用する外来]の基準は下記の通りとなります。
初診の外来件数のうち「重点外来」の件数の占める割合40%以上(初診基準) 及び 再診の外来件数のうち重点外来の件数の占める割合25%以上(再診基準) |
「重点外来」は以下の①~③のいずれかの機能を有する外来となります。
①:医療資源を重点的に活用する入院前後の外来
次のいずれかに該当した入院を「医療資源を重点的に活用する入院」とし、その前後30日間の外来の受診を類型①に該当する「重点外来」を受診したものとする。(例:がんの手術のために入院する患者が術前の説明・検査や術後のフォローアップを外来で受けた等)
Kコード(手術)を算定
Jコード(処置)のうちDPC入院で出来高算定できるものを算定(6000㎠以上の熱傷処置、慢性維持透析、体幹ギプス固定等、1000点以上のもの)
Lコード(麻酔)を算定
DPC算定病床の入院料区分
短期滞在手術等基本料2,3を算定
②:高額等の医療機器・設備を必要とする外来
次のいずれかに該当した外来の受診を、類型②に該当する「重点外来」を受診したものする。
外来化学療法加算を算定
外来放射線治療加算を算定
短期滞在手術等基本料1を算定
Dコード(検査)、Eコード(画像診断)、Jコード(処置)のうち地域包括診療料において包括範囲外とされているもの(脳誘発電位検査、CT撮影等、550点以上のもの)を算定
③:特定の領域に特化した機能を有する外来
次の外来受診を、類型③に該当する「重点外来」を受診したものとする。
診療情報提供料Ⅰを算定した30日以内に別の医療機関を受診した場合、当該「別の医療機関」の外来
合わせて、地域の協議の場において重要な指標となる紹介率・逆紹介率等も参考にしつつ協議が行われます。紹介率・逆紹介率の基準は、紹介率50%以上 及び 逆紹介率40%以上です。
■想定されるスケジュール(イメージ)
令和4年度の外来機能報告スケジュールは以下のように予定されています。
出典:厚生労働省WEBサイト「外来機能報告制度」より
■定額負担の見直し
対象医療機関の外来を受診する場合、紹介状なしで受診する患者に対しては定額負担を徴収することが責務とされていますが、今年度の診療報酬改定において、対象病院の拡大と負担額の変更が行われました。
対象医療機関には、上記で説明した『紹介受診重点医療機関(一般病床200床以上に限る)』が追加されます。さらに、10月より定額負担の見直しが行われ、初再診料の保険給付範囲から一部が控除され、その分の定額負担が増額することとなります。
出典:厚生労働省 説明資料「令和4年度診療報酬改定の概要【全体概要版】(P32)」より