【医業経営ニュース】 Vol.40「大病院における紹介状なし患者の「特別の料金」」
2022年10月1日より、外来医療の機能分化の推進のため、紹介状なしで大病院を受診する場合に、患者へ支払いを要求する「特別の料金」について以下に解説します。
■対象となる医療機関
・特定機能病院
・一般病床200床以上の地域医療支援病院
・一般病床200床以上の紹介受診重点医療機関(2023年3月頃の公表を予定※)
※新たに紹介受診重点医療機関となる病院については半年間の経過措置あり
■対象となる患者
初診の場合 | 他医療機関からの紹介状なしで受診した患者 |
再診の場合 | 他医療機関(病床数200床未満に限る)へ文書による紹介を行う旨の申出を行ったにもかかわらず、当該医療機関を受診した患者 |
ただし、以下の患者の場合は、「特別の料金」を求めなくてもよいとされています。
初診の場合 | ・自施設の他の診療科から院内紹介されて受診する患者 ・医科と歯科との間で院内紹介された患者 ・特定健康診査、がん検診等の結果により精密検査受診の指示を受けた患者 ・地域に他に当該診療科を標榜する保健医療機関がなく、当該保険医療機関が外来診療を実質的に担っているような診療科を受診する患者 ・治験協力者である患者 |
初診・再診共通の場合 | ・救急医療事業、周産期事業等における休日夜間受診患者 ・外来受診から継続して入院した患者 ・災害により被害を受けた患者 ・労働災害、公務災害、交通事故、自費診療の患者 ・その他、保険医療機関が当該保険医療機関を直接受信する必要性を特に認めた患者(除外事項あり) |
さらに、以下の患者の場合は、「特別の料金」を求めてはならないとされています。
初診・再診共通の場合 | ・救急の患者 ・国の公費負担医療制度の受給対象者 ・地方単独の公費負担医療の受給者(限定あり) ・無料低額診療事業実施医療機関における当該制度の対象者 ・エイズ拠点病院におけるHIV感染者 |
■「特別の料金」の基準額(消費税を含む)
患者から徴収する「特別の料金」は下表の通りです。(上数字…2022年9月までの金額、下数字…2022年10月以降の金額)
また、「特別の料金」は消費税を含む金額であることに注意が必要となります。
区分 | 初診の場合 | 再診の場合 |
医科 | 5,000円以上 ⇒7,000円以上 |
2,500円以上 ⇒3,000円以上 |
歯科 | 3,000円以上 ⇒5,000円以上 |
1,500円以上 ⇒1,900円以上 |
■「特別の料金」の患者の支払いイメージ
(例:医科、一部負担金 3 割負担、初診の「特別の料金」を5,000円から7,000円とする場合)
患者から徴収する特別の料金は増額されますが、当該患者に対する保険給付(初診料・再診料)から一定額(初診の場合は200点)を差し引くことになります。
保険給付と患者の支払う一部負担金は非課税ですが、「特別の料金」は消費税の課税対象となります。よって、特別の料金の設定額によっては、医療機関の総収入が変化する場合があります。
(以上の出典:厚生労働省「「特別の料金」の見直しについて」 制度案内リーフレット)